私がローマで独りで始めたわけ 

2018年 08月 19日 ( 1 )




友人のお見舞いに行ってきました

昨日 友人のお見舞いから 帰ってきました


私を見るなり 彼は抱きついて おいおいと泣きました
思った通り
彼の病気は ALS 筋萎縮性側策硬化症でした



私たちは、日頃 手足や顔などの筋肉を自分の思い通リに動かしています、
この筋肉を随意筋と言い、この随意筋を動かしているのが、脳からの命令を受けた運動ニューロンです。
運動ニューロンとは、運動神経細胞のことで、この細胞が侵されると筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなり、筋肉を動かしにくくなり、筋肉が次第に痩せ細っていきます。
痩せ細ると言う事は その随意筋を使った動きができなくなるということです。
つまり手足を動かすことであり
声を発することであり
ものを飲み込むことであり
肺の呼吸活動も随意筋による運動です。
ですから 随意筋でない胃腸や心臓は影響を受けませんが、
一番危険なのは、肺の筋肉にまで影響が及ぶと言う事です。


彼は 3年前に左足を引きづる。から始まり
2年前に発音機能を失いました


彼は 一般的に言うところの 「いいオトコ」ではないのですが
最高にオシャレで ダンデイでした。
そして
ちょっと深みのあるバリトンの声で話すカッコいい人でした

3年前に結婚したと言う 彼の息子さんの結婚式の写真を見て
私はこう言いました
マテオはあなたのカッコ良さ は まだまだ 越せてないね。と



そんな彼が 歩くことができなくなり
話す事もできず
トイレも自分一人で行けず
コップやスプーンを持ち上げるのにも 一苦労
つまり
一人で何もできない身体になりました


この病気は、脳は侵されないので
この病に罹った人は、自分の身体が日に日に動かなくなって行くのを
はっきり自分で知覚し、目の当たりにする事を余儀なくされます
スイスに 自死を幇助する機関がありますが、その機関を頼って来る人に
多くのALSの患者さんがいると言う事も理解できます。
彼らは もう嫌だと投げ出したくても 自分で死ぬ事さえ 出来ないのです



こんなに残酷な病は、他にはないと私はいつも思っていました
それが自分の身近で起きたのです
私は、 立ち上がることさえ一人ではできない彼を見て
イタリア人には珍しく 明晰で合理的で
なんでも自分で さっさとやってしまう、実に行動的な人であっただけに
その彼の今の苦しみを想像しただけで、想像している私の方が気が狂いそうになります
彼は 待望のお孫さんが産まれても 抱く事さえ できないのです



私たちは、夜遅くまで
そして 次の日は 朝から私が帰る寸前まで 沢山の話をしました
特に 私と彼が一緒に仕事をしていた時の
日本に行った時に起きた 数えきれないほどの出来事は
私たちを あの時と同じように 笑わせました
そして
彼の病気の話もしました



そして こう言いました
「祈る」のでは 消極的過ぎるから、、
「治る」と決めよう
「治る」と ここで 決心しましょう と。
期待をすることなく
1日 1日 治ると決めて そのためにできる事はみんなやってみようと。


そして こうも言いました。
あなたは すでに 誰もが想像できないほどの大変な状況を生きている
私だったら とてもじゃないけど耐えられないことで
それをやっているあなたを凄いと思うと。
だから
ある日 もう嫌だ もうこれ以上我慢できない と あなたが自暴自棄になったとしても
そんなのは むしろ当たり前のことで
実に人間的な感情であり
だから 怒ってもいいし、泣き喚いてもいいのだよと


あなたが、あなたの我慢が限界だと 耐えきれなくなったり
頑張りたくなくなったら
それでも 無理に我慢して 頑張ろうなんて思わなくていいのだと
その時は 私たちがあなたを支える
あなたを支えて みんなで 持ち上げる
だから 大丈夫
その時は 頑張らなくていい
頑張り過ぎるなんて事はしなくていい。 と 言いました


今まで 明るく強く振舞っていた奥さんが
私が帰る日 2人きりになった途端 車の中で泣きました
もうやっていけないと言いました


私は彼女に
私が 今悔やんでいることを話しました
それは
私が母の闘病をお手伝いするために日本に帰った時
私は、母を元気付ける事しかしなかったし、言わなかった という事
母の手を握って 黙って 横に座って 一緒に泣いてあげる事ができなかった という事
母の悲しみに 一緒に寄り添う事ができなかった
その事だと、
だからあなたには同じ過ちを犯してもらいたくないと。


元気付けるのもいい
でもたまには手を握りしめて 一緒に泣いてもいいのだと
もしかしたら
それが闘病している人が私たちにやってほしいと思っている事かもしれないのですから


難しい事を言っているのは百も承知です
一緒に悲しみに浸るということは、
元気付けると言う行為より はるかにこちら側の強さを必要とするのですから



私は今まで
完全の中の不完全 だとか、不完全の中の完全だとか
人生における困難は 私たちの成長のため
ひいては私たちの良かれのために神様が与えてくれた宿題だ。
なんて事をちゃらちゃら 信じていました


しかしながら
こうして 、人間としての最低限の自立、尊厳までをも奪われ、
救いようのない 終わりの見えない 真の苦しみと日々取っ組み合いを強いられている友人を見て
そんな言葉は詭弁でしかないと
そんなものただのクソでしかない。と思いました


神様は 多分 いません


しかしながら
私たちは 治ると決めました。
決めたから、
だから 治るんです


神様なんていないんだから
運命なんて ないんです
運命は私たちが 舵を取り、私たちが決めます



帰宅して
早速 ネットで いろいろ調べて
日本でも 色々なところで いろいろな研究がなされている事を知りました
実は 彼は日本製の点滴のおかげで 進行を辛うじて食い止めているのです

早速 いろいろなところに コンタクトを取っています


溺れるものは藁をも がっしり と掴み
そして救われます
下手は鉄砲も数撃ちゃあ当たるのです



こうして 彼の もしかして プライバシーに関わる事を書いているのは
このブログに来てくれている人たちからの
情報も欲しいからです
私は小さな情報にこそ 問題を解決する鍵が潜んでいると思っています


もし何か良い治療法、薬 、リハビリ なんでもいいので
何かご存知な事がありましたら


教えてください



よろしくお願いします



b0150335_02284502.jpeg



ローマへの帰り道
私は私の残りの命のいくらかを彼にあげてもいいと思いました
それは
私が もうやりたい事は 残らずやったので
特にこれからの生に執着がないからでしょうが


彼がもう一度 それが一年であったとしても
半年であったとしても
もう一度 自分の足で ずんずん歩き
自分の言葉で 冗談を言い 笑い
自分の手で 愛する人を抱き締め
自分の手で 大好きな分厚いステーキをザクザク切って
自分の歯で ムシャムシャ食べ
大好きなワインをゴクゴク飲み干せる

事が出来るなら


本当に分けてあげたいと思いました



この病気は
それくらい 側で見ている人にとっても 辛い病気です
どの病気も これがいい と言うのはないかもしれませんが
でも
この病気は 闘病する事さえ許さないのです
病気にただ翻弄されるのみ です

地獄です


それでも
私は諦めません
医学は日々進歩しているのであり
きっと この日の事も笑って話せる時が来ると信じています
なによりも
私たちは 治ると決めたのですから。



















[PR]



by cocomerita | 2018-08-19 04:44 | 生き物を救え | Trackback | Comments(24)

ローマからいろいろ
by cocomerita
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フォロー中のブログ

素晴らしき哉映画人生
映画の心理プロファイル
掬ってみれば無数の刹那
ラテンなおばさん
非天然色東京画
とかのしゃしん
コバチャンのBLOG
松浦ひかり
あんつぁんの風の吹くまま
koz-mic hours
心の万華鏡  
about ・ぶん
のほほん日記
弁天スタジオ
(旧)とりあえず俺と踊ろう
梟通信~ホンの戯言
断想
記憶の表象
しのぶの里から
続・まりおの部屋
フォトパラダイス
八十代万歳!  (旧 七...
いいたいことは少しある
チェイル
札幌の空の下で徒然記まま...
流木民
now and then
春のよき日に
Life with Bi...
維摩と語る
make no bones
今日の色は。。。
東京ライフ
日だまりカフェ
隊長ブログ
Facciamo una...
「時間よ止まれ」
にっと&かふぇ
楽・遊・学・ビバ人生!!
+nao日記+
ゆる~い日々
luxe et beauté
イギリス ウェールズの自...
幸せごっこ
Happy Days♪
JAZZの普段着写眞館
quartet!
旅するように暮らしたい
海外出張-喜怒哀楽-
シボな毎日
easy-writer
黒い森の白いくまさん
MU PHOTO
La vie d'une...
チキとふたつのりんご
えんやこら母ちゃん
EL PAJARO
ほのぼの動物写真日記
To tomorrow ...
liliaの 瞬間湯沸かし記
あおぞらのゆくえ。。。
40 ans a Par...
Cook*Days~お料...
A dreamer me...
☆FREEDOM☆
Faites la ta...
江ノ島ノラびより。
焚き火小屋の備忘録
ヴェルサイユの花 ~Fl...
ローマより愛をこめて
かるぺ・でぃえむ
思いのままに。。    ...
ゆるりんのポレポレ日記
さかなのしっぽ、そしてはらわた
光と影をおいかけて
いいあんべぇブログ
Memories of You
カタルーニャの葡萄畑から
laboratorio ...
ピレネー山脈を超えたらそ...
カフェと畑と犬と猫
sobu 2
モンシェリー ~酵母さま...
続・八曜社
気がつけば50代
子供と一緒に育つ父
春のよき日に vol.2
夕暮れしっぽ
SPORTS 憲法 政治
オトナの社会科・中東から...
俺の心旅
父ちゃん坊やの普通の写真その2
マイおばちゃんの日記 2
発酵のち薄幸ー( ̄O ̄;)
Live & let live
明日をもっと楽しく!した...
父ちゃん坊やの普通の写真その3

最新のコメント

Kimanbaさん 続き..
by cocomerita at 16:23
Ciao kimamba..
by cocomerita at 16:23
ブログを閉じられた後に初..
by kimanba at 13:02
Ciao anohiwa..
by cocomerita at 08:34
水浸しのイタリアの映像を..
by anohiwa at 21:06
Ciao hanaren..
by cocomerita at 17:20
あんまり書き込むとご迷惑..
by hanarenge2 at 14:30
Ciao 2018-11..
by cocomerita at 05:07
続きです。 あれ程の事..
by kanafr at 10:04
今年は、フランスも南仏だ..
by kanafr at 10:03

Link (Excite 以外

最新のトラックバック

遠藤周作の最高傑作の完全..
from dezire_photo &..
日本が原発のトイレになる!
from 梟通信~ホンの戯言
ドイツ皇帝の最後の宮殿で..
from dezire_photo &..
安倍にも負けず夏の暑さに..
from 梟通信~ホンの戯言
新国立競技場と辺野古基地..
from 梟通信~ホンの戯言
安倍よ菅よ、翁長知事の問..
from 梟通信~ホンの戯言
原発が導入された内幕 有..
from 梟通信~ホンの戯言
日本でしか起きないタイプ..
from 掬ってみれば無数の刹那
どうもありがとう、そして..
from 掬ってみれば無数の刹那
雄勝の猫の旅
from ピレネー山脈を超えたらそこは・・

ライフログ

検索

タグ

ファン

ブログジャンル

画像一覧